カンバンの説明

一般的に、カンバンとは作業の流れを視覚化するボードのことです。カンバンは、ボードに追加するカードを意味することもあります。カンバン方式とは、作業の流れを管理および改善するための原則と実践です。

カンバン方式を利用する場合は、ボードが常時存在します。プロジェクトやその他の活動で作業の進行状況を理解および伝達するために、カンバンのルールに従わずにカンバン ボードを使用することがあります。

これは、単純なカンバンです。カードのワーク アイテムは、列または状態を左から右へと流れます。

カンバン システムの目的は、作業を開始から完了まで減速または停止せずに円滑に進めることです。

カンバン チームは、個々の項目を完了させるのに必要なサイクル時間を短縮するために、一度に作業できる項目(WIP)の数を制限します。

カンバンのトピックは次のとおりです。

カンバンの基本実践

カンバン システムを運用するための基本的な段階は次のとおりです。大抵の場合は、これらを順番にチームに説明するのが合理的です。

  1. フローを視覚化します。 手始めに、手順、ハンドオフ、決定、作業キュー、需要パターンなど、チームが作業をどのように完了するのかを図に表すことができます。最終的には、電子ツール内に、または付箋を貼ったホワイトボードにカンバン ボードが形成されます。
  2. これは単純な作業フローです。

    これは、単純な作業フローをどのようにカンバン ボードに変換することができるのかを表しています。

  3. WIP の上限を設定します。 カンバン チームがボード上の各列のワーク アイテム数の上限を設定します。WIP 上限はチームのキャパシティを示すためのものです。通常では、円滑なフローと短いサイクル時間を調和させる最も効果的な方法をチームが習得するにつれて WIP 上限は変更されます。
  4. [完了]列に上限はありませんが、ほとんどのほかの列には上限があります。

  5. 管理ポリシーを明示します。 カンバン チームは、さまざまなタイプのワーク アイテムの作業フロー、ワーク アイテムを次の状態にプルする時点、ブロックされた項目のフラグ設定および管理に関して、単純なルールを定義します。これらは大抵の場合、ボードの近くに掲示されます。チームが改善するにつれて、ルールも進化します。
  6. 通常では、全体のポリシーや、チーム内および利害関係者との作業合意に加えて、それぞれの状態に関するポリシーがあります。

  7. フローを管理します。 チームは、ボード上の現在の作業状態に関する情報と共に、収集した平均サイクル時間とその他のメトリックに関するデータを活用して、最大価値を最速で実現する方法で作業を管理します。
  8. チームは、最短のサイクル時間と最大のスループットの調和を目指します。

  9. 協力して改善します。 カンバン システムでは、最も重要な改善機会が強調されます。チームは、これらの改善機会にグループとして取り組み、原因究明、仮説立案、およびソリューション テストのための問題解決方法を適用します。
  10. このボードにはブロックされた項目があります(赤色のフラグ付きで表示されます)。C 列には作業がありません。A と B の両方が WIP 上限に達しているので、A は停止しています。

改善

カンバンを使用しているチームは、ボトルネックに細心の注意を払います。チームはボトルネックを解消して作業を再び進行させるために迅速に対応し、その後のボトルネックの再発を防ぐ方法を探します。これはカンバンの基本概念である作業の全体フローの継続的な改善の中核を成します。

これは、上限を超過している B 列に重大なボトルネックがあるボードのサンプルです。A 列はブロックされていて、C 列では作業が必要です。WIP 上限は赤色です。

カンバン ボード

ほとんどのボードは[準備完了]で始まり[完了]で終了します。[準備完了]とは、作業がチームのフローに受け入れられたことを意味します。この列はキューです。カードがこの状態である間、作業は実行されていません。各状態は、カードが各列に配置されているときに実行される主要タイプの作業を表します。ただし、カードが[ビルド]に配置されているときに、チームはたとえば早期のテストを実行することもできます。

急送

チームがほかのカードの一時停止を伴う緊急作業や重要な作業に対応する必要があるときには、急送プロセスを使用できます。急送カードがボード上にあるときには、カードの作業が完了するまで、チームはこの WIP 上限を無視できます。このステータスのカードは一時点に 1 つのみとなるように、急送合意をセットアップすることをお勧めします。

CA Agile central では、カードの色分けを使用して、急送リクエストを示します。色について事前に合意しておいて、ほかのカードにその色を使用しないようにしてください。

メトリック

カンバンは、いくつかの特定のメトリックを定義するだけです。このデータの目的は、チームによるフローの最適化と改善の促進および測定に関する意思決定を支援することです。

サイクル時間(CT): これは最も基本的なカンバン メトリックです。これは項目がボードに配置されている期間([準備完了]から[完了]まで)です。これは工数の測定値ではなく、日数単位の経過時間です。大抵の場合は、平均 CT の短縮がカンバン チームの主な目的です。

CT 信頼レベル: チームは、項目のサイクル時間に単純な統計を適用して、新しい作業にかかるであろう時間についての信頼レベルを判断して、関係者に期待することをこれに基づいて設定します。

この例では、チームのワーク アイテムの 75% はおおよそ 8 日間で完了し、95% はおおよそ 12 日間で完了します。

スループット(TP): これは、特定の期間にチームが確実に完了する項目の数です。TP はキャパシティの主要メトリックです。

リトルの法則: CT と TP は、リトルの法則と呼ばれる単純な式 TP = WIP/CT で関連付けられています。これによると、サイクル時間を短縮できれば、特定数の WIP のスループットが増加することは明白です。(ソース: リトルの法則の正式な式は L=λW です。)

期日のパフォーマンス: ワーク アイテムに具体的な期日がある(およびこれを統制するポリシーがある)場合は、各項目の超過日数または残日数を追跡するメトリックが役立ちます。目標は、期日にできるだけ近い時点で完了することです。

ブロック: ブロックとその期間のレコードは、システムを徐々に改善する方法を記述するのに役立ちます。ブロックが減ると、もちろん CT が短くなります。

品質: ほとんどのチームは、期間内の品質を追跡するメトリックを使用するという基本について合意します。大抵の場合、これは 1 つの期間中の初期ディフェクト数や解消されたディフェクト数といったメトリックです。WIP の増加と品質の低下は相互に関係していることが多いので、これは測定すべき重要な側面です。

原則

カンバンはリーン生産方式の原則をその他の原則と共に適応させて開発され、次のような中核となる概念の多くを共有しています 。

  • システム思考: デリバリ システム全体と、イベントおよび変更が全体に及ぼす影響に着目し続けます。
  • 学習: システムの改善を促進するために、データの収集、解釈、適用の必要性、および経験と理解に重点を置きます。
  • フロー: 再作業や、停止、ボトルネック、キューによる無駄を最小限に抑えて、システムで作業の円滑な進行を促進および維持します。
  • プル: 計画外の決定やスケジュールに基づいて作業を押し込むのではなく、キャパシティが利用可能になったときにのみ、システム全体または特定の状態に作業を引き取ります。
  • 余裕: 個人の利用率を最大化しようとするのではなく、正常な変動と予期しない状態に対応するためのキャパシティを備えておきます。
  • スウォーム: フローを推進するために必要なすべてのリソースを活用して、作業の問題を迅速に処理します。

その他の概念

以下のトピックでは、カンバンの高度な概念について説明します。チームは、カンバン システムの運用経験を積んで、さらなる決定の基礎となるデータを十分に収集するまで、これらの詳細な検討を遅らせることができます。

ワーク アイテムのタイプ

ほとんどのチームは、作業の需要パターンの把握と作業する項目タイプの識別に努めます。ワーク アイテムを S、M、L のサイズに単純に分類するか、役に立つ分類を作成することができます。これらのタイプに基づいてメトリックをフィルタできます。この情報は、チームの全体的な予測を大幅に改善するのに役立ちます。

サービスのクラス

十分なデータと経験を持つチームは、限られた数のワーク アイテムタイプを識別してから、作業フローと提供価値を最適化するためのポリシーを作成することができます。ポリシーには、作業の優先順位付けとプルに関するガイダンスや、問題の状況に対処するトリガを含めることができます。

チームは、特定の要件に対応するサービスのクラスを作成します。デビッド アンダーソン氏は、関係者の柔軟性と満足度を向上させることを目的とした 4 つのサービス クラスを提案しています。

  • 急送
  • 固定納期: 契約や規制上の義務など、特定の日に間に合わせる正当な理由がある項目。カンバンでは、日付を任意に割り当てることは推奨されていません。
  • 標準: 緊急度が通常である項目の一般的なクラス。
  • 無形: 遅れても重大な(または緊急の)コストが発生しない、優先度の低い項目。

SLA

サイクル時間と信頼レベルに関する情報や、さまざまなサービス クラスに関連付けられたポリシーに基づいて、関係者との SLA(サービス レベル アグリーメント)を作成することができます。SLA には、関係者が期待するワーク アイテム完了までの推定時間が指定されます。この時間は、チームが類似する項目を過去に提供したときのパフォーマンスに基づいて、それなりに信頼できる推定値です。SLA は特定の期間に納入する約束ではありませんので、もっと的確な名前として Service Level Expectations(サービス レベルの期待値)を提案する人がいます。

カンバンの拡大

カンバンは急速に進化していて、さらに大規模で複雑なデリバリ コンテキストを管理する方法が開発されています。複数レベルで構成されるシステムは、チームによる作業の管理と改善に役立ちます。

また、プログラムとポートフォリオの管理や複雑なデリバリ シナリオのロールアップ ビューの提供のためのディスカバリおよび意思決定プロセスなど、カンバンは作業管理の幅広い側面に適用されています。

参考文書

  • 『リーン開発の本質』 メアリー・ポッペンディーク、トム・ポッペンディーク(日経BP社)2008 年。
  • 『カンバン ソフトウェア開発の変革』 デビッド・J.・アンダーソン(リックテレコム)2014 年。
  • 『リーン開発の現場』 ヘンリック クニバーグ(オーム社)2013 年。
  • Priming Kanban, Jesper Boeg, Trifork A/S, 2011.
  • Scrumban, Corey Ladas, Modus Cooperandi Press, 2008.
  • Theory of Constraints, Eliyahu Goldratt, North River, 1999.

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